ここでは、玉乃井保存活用プロジェクトメンバーの玉乃井への思いを紹介します。

金氣 順也

津屋崎の中で残したい残ってほしい建物が玉乃井です。

その思いは最初に出会った時より強くなっている気がします。
津屋崎の人口が急激に増え街の風景もすごいスピードで変わりつづけ、間(ま)がどんどん失われている状況に危機感を感じているからかも知れません。

 100年以上の年月の歴史や利用した人達の記憶がたくさん詰まっている玉乃井。そんな記憶が詰まった建物を残していくことは、再度訪れた人が記憶を蘇らせ大切なものを振り返ることができ、また初めて訪れる人にもこの場所で100年以上建ち続けた姿は勇気や生きる力を与え、色々なことを考え伝えてくれるのではないでしょうか。

長い年月の中で多くの人が応急処置をしたりしながら何とか維持していきたいとの思いでがんばってきた痕跡がたくさんあります。その思いを大切に今後は保存・活用していくことが大切なことだと思います。

 そうはいっても現状残っている建物でも約180坪の広さの大きな木造建築。
痛み具合が良くない箇所も多く見られ費用面等問題もたくさんあります。とても個人の力で維持していくのは無理があります。

 また玉乃井の建物が残っていくかというのは微妙な位置にあると思います。
というのも玉乃井を残すべきだという価値観が二つに分かれるからです。特に私達建築の専門職の人達が二分されると思います。特別高価で希少価値のある材料をつかっているわけでもなく、かなり傷みもすすんでいてもう手遅れと判断する人も少なくないと思います。

 それと関わりたくないと思うひとも少なくありません。関わっても苦労が多いのは目に見えているし利益が出る仕事でもなさそうだし出来上がったものが周りから評価されそうも無い等専門家の経験を積んだ人の多くの人はこのような思いを持つものだと思います。

 また、玉乃井を現状のまま残して活用していくのにネックになるのが建築基準法です。現基準法では、この場所にこの木造建築は建てられません。既存不適格建築に該当するのです。

 ですので今後活用していく中で用途変更する場合等現基準法の法規制がかかってくるのです。法規制がかかると玉乃井の開放感ある純木造、全木製窓の景観は維持できなくなります。登録を目指している国の登録有形文化財に登録されることは、多くの人に価値を理解していただくことも大事ですが、玉乃井を法規制から守っていく為にも必要だと思っています。
ですので玉乃井保存・活用プロジェクトのメンバーや応援してくれる人達、工事に関わってくれる人達は非常に大切な人達だと思っています。理解者や応援者をもっと増やしていかないといけないと思いますけど急には増えていかないだろうとも思っています。
地道に気長にブレないようにやっていくことが大事かなとも思います。
安部さんの想いを一番大切に引き継いでいくことが大切だと思いますし、それだけ玉乃井は残していくべき価値があると思います。